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DLNAのDTCP-IPを解除する方法 第1話『DTCP-IPが引き裂く家族の絆』

おことわり

この記事は、DTCP-IPで採用されている暗号方式(ECCおよびAES)の既知の脆弱性を取り上げ、DTCP-IPの安全性を評価するものであり、違法行為を助長する意図はありません。

第1話「DTCP-IPが引き裂く家族の絆」

プロローグ

2012年12月。
動画が綺麗と評判のミラーレス一眼「ルミックス」を買った記念に、
愛犬と3歳になる息子が戯れる他愛ないホームビデオをテレビ番組に投稿したら、
これがなんと年末特番でグランプリに選ばれてしまった。
もちろん放送はBDレコーダー「ディーガ」に録画してある。
大晦日に親戚が集まったら自慢しようと、心待ちにしていた。
12月31日。
親戚がみな集まってきたが、NHK紅白歌合戦に夢中でリモコンを離さない。
テレビにかじりついているのを邪魔するのも無粋だ。
途中でニュースを挟むタイミングを狙って、
録画した番組をDLNAiPadにストリーミングして見せびらかそう。
いましばし、ももクロのヲタ芸打ちに興ずるとしよう。

8時55分。
待ちに待ったニュースブレイク。
iPadのRetinaディスプレイを頭上にかかげ、高らかに宣言した。
「うぉおぉぉー、うちのたっくんがテレビに出ちゃったんだってばよ!」

・・・静寂。そしてiOSのエラー表示。
DTCP-IPエラー:ホップ数が3を超えています。』
ホップ数ってあれか!?
ディーガからiPadの通信経路の間にあるルータの数のことか?
そういえば家中に無線LANが届くようにルータを4つ設置したんだったっけ。
だけどDTCP-IPはホップ数に制限があったのか?
そんなの聞いてないぜ。

やりようのない怒りがこみ上げてきた。
ついカッとなり、iPadのゴリラガラスでビエラの保護ガラスをカチ割り、
プラズマ管を引きちぎる。
唖然とする親類。小学2年生になった姪は嘔吐している。
ビエラのバンブーコーンスピーカーからは相変わらず耳障りな音が鳴り続けている。

♪つーけまつーげ♪まつげまつげ♪

どうしてツケマは良くてカツラはダメなんだっ!
くそったれぇーーーーー!!!
ターゲットのセンターに実装されたPEAKSプロセッサを引き剥がし、
シリコン単結晶のコアを噛み砕いたとき、
ようやくほどばしる熱いパトスが浄化された。

2013年の初仕事は、ヨドバシカメラでLG電子の大画面液晶を買って、
焦げ付いたプラズマTVを家電リサイクルに出すこと。
そして役所に離婚届を出して、この家を出ていくんだ・・・。

2022年。
オレの暴走から早10年が過ぎていた。
リモートアクセスに対応したDTCP+が普及し、ホップ数の制限はなくなった。
もしあのとき、DTCP+対応機器があれば、家庭崩壊は防げたかもしれない。
いや、せめてDTCP-IPの仕様をもっと早く調べておけば・・・

ディーガからSDカードに書き出して、
タブレット端末「ビエラ・ワンセグ」で番組持ち出しをすればよかったんだ。

あのときはDTCP-IPがパケットを監視していることをまったく知らなかった。
そもそもDTCP-IPはどういう仕組みになっているのか?
独りで食べるおせちも飽きたし、ちょいと調べてみるとしよう。

第2話に続く。

ご注意

テレビの内部には高電圧部分があり、サービスマン以外の方がむやみに触れると危険です。
また、電気部品には飲食すると健康を害する物質が含まれています。
絶対に真似をしないでください。

家族を守るためであっても、DTLA社からライセンスされた機器以外でDTCP-IPを復号化すると、違法行為にあたる可能性があります。