セカンドベストはなんだ?

最善の策が取れなくても良い。最善を尽くすことがダイジ。

長岡鉄男ってそんなに偉いの?

iPod世代の私には、なかなか理解できないのだけど、
長岡鉄男という人は、いまだに一部のオーディオマニアに絶大な人気を誇っている。
長岡鉄男のオーディオ哲学を熱烈に支持する、いわゆる「長岡教」の信者も根強い。
相田翔子の親衛隊は消滅してしまったというのに、まったく長岡教の影響力恐るべし、である。*1

なぜ長岡鉄男の人気は途絶えないのか?
なぜオーディオ界隈で神格化されるのか?

その答えはつぎの3つにあると思う。

自作スピーカーへの特化

長岡鉄男といえば「自作スピーカー」。
レコードからCDになろうが、iPodになろうが、スピーカーの技術は陳腐化しない。

そもそもオーディオレビューは、ジャーナリズムとしての価値しかない。
ひたらくいえば、消耗品でありナマモノなのだ。
新しい製品がでたら、旧世代の製品には誰も見向きをしなくなる。
同様に、古い製品を事細かにレビューしたところで、消費者は興味を示さない。

スピーカーだけは別格。
しかも自作スピーカーならメーカー製品のように廃盤の憂き目にあうこともない。
かたや、タンノイのオートグラフを賞賛した五味康祐の名前を耳にすることは少ない。

メーカーにこびず、軽妙な語り口

辛口コメントとユーモアある文体も長岡鉄男氏の特徴。
文芸批評と違い、オーディオレビューで堅苦しい文体はウケが悪い。
その点、コント作家出身の長岡鉄男氏が人気になるのは想像にたやすい。

オーディオ業界が縮小し、大手某社の悪口を書くと仕事がもらえない、
そんな袋小路に追い込まれた現在と違い、当時は各メーカー百花撩乱。
オーディオ評論家の”センセー”はひっぱりだこ。多少の辛口はご愛嬌だっただろう。

オーディオ・サークル「ミューズの方舟」

現在の活動している「ミューズの方舟」は、長岡鉄男氏が発起人らしい。
もともとはメーカー主催セミナーが打ち切りになったのがきっかけだというが、
同好の志のつながりを思いやる長岡鉄男氏の人となりがうかがえるエピソードだ。

マーケティング理論っぽくいえば、
コミュニティを提供したことでディープな「ファン」をつくることに成功し、
他のオーディオ評論家とは一線を画す「長岡鉄男」というブランドの神格化を決定付けたのかもしれない。

まとめ

  1. 自作スピーカー
  2. 辛口&ユーモアのある文体
  3. 「ミューズの方舟」の主催

この3つの要因を考えると、長岡鉄男の人気が根強いのにも合点がゆく。

では、カリスマ 長岡鉄男氏がオーディオ業界に及ぼした影響はなにか?
次回はその功罪を考えてみたい。

*1:アイドルは次から次に若くてカワイイ子がデビューするのに対して、「オーディオ評論家」は時代背景の影響が強い職業なので「長岡の後に長岡なし」という状況なんだと思う。