セカンドベストはなんだ?

最善の策が取れなくても良い。最善を尽くすことがダイジ。

ロスレス音源をWAVEと同じ音質で再生する方法

前回の記事で、ロスレス音源がWAVEのような非圧縮音源に比べて音質が劣化する原因を考察した。ロスレスデコードのノイズがオーディオクロックのジッターを増やし、音質に悪影響を与えるのだ。ゆえに以下の2つの対策を行えば、ロスレスで圧縮した楽曲をWAVEとまったく同じ音質で再生できる。

  1. ロスレスデコードのノイズを減らす
  2. ノイズに強いクロックを使う

こうした対策を行っているハイエンドオーディオプレイヤーを調べてみた。

ロスレスのノイズ対策はソニーがピカイチ

ロスレスデコードのノイズ対策を唱っているのはソニーだけ。一般的なハイエンドオーディオメーカーは「最高に良い音で聞きたいなら可逆圧縮は使わなきゃいい」というスタンスで、ロスレスデコードのノイズは放置状態。
というわけで、ロスレス音源を可能なかぎり良い音で聞くベストソリューションは「ソニーを使え」ということになる。
SONY マルチチャンネルインテグレートアンプ TA-DA5400ES

金井氏によると、ロスレスフォーマットでは、データ自体を元のリニアPCMに戻す際、大量のノイズが発生し音質に悪影響を及ぼす“ジッター”を発生させるという。デコード時にDSP回路が大量の電力を消費することでジッターが発生するのが主な原因だ。TA-DA5300ESではDSP回路のすぐそばに電源回路を配置したことで、ロスレスデコード時のジッターを抑えた。金井氏は「ロスレスデコードは記録時の原音を再現する実力はあるが、専用の回路でデコード時のノイズ対策をしないとリニアPCMよりも音が悪くなる」と断言する。

ソニーの次世代AVアンプ「TA-DA5300ES」誕生 − 開発者・金井氏緊急インタビュー - Phile-web

日本語がちょっと分かりづらいのが残念。DSPとロスレスデコーダが分かれていて、デコーダに専用電源を設けたのか、デコード処理もするDSPに高品質な電源を使っているという意味なのか、あいまい。
おそらく後者か?そうすると高級オーディオも同じような対策はしている可能性が高い。

高精度クロックはHiFiオーディオのトレンド

オーディオマニアの間で、デジタルではクロックが音質を変化させることが話題になっている。そのため高精度&低ジッターを唱うクロックが高級オーディオで流行っている。
また、高級オーディオは電源など高品質な部品を使っている。
よって、値段の高いオーディオ機器はロスレスデコードのノイズの影響を受けづらいと予想される。
ただし「クロックの精度が良いこと」と「外乱ノイズに強いこと」(EMI, イミニティ)は異なる要素であり、それぞれ必要以上に精度をあげても音質改善の効果は薄い。たとえば、ルビジウムクロックを使い「クロックの精度だけ」を追求したコンセプトモデルより、あらゆるケースを想定したビデオレコーダーのVCXOで作ったクロックのほうが音質的には良い結果になることも十分ありえる。

ハイエンドオーディオ機器の世界では馬鹿にされがちだが、パナソニックのブルーレイレコーダー「DIGA」の最高級モデルは、音楽再生時にビデオ系の回路を殺すことができる変態仕様。その真意は、使っていない回路でも殺すことで音質改善ができるほどピュアな設計をしているという自信の現れかもしれない。
Panasonic DIGA HDD搭載ハイビジョンブルーレイディスクレコーダー 3TB 4Kダイレクトクロマアップコンバート&ネットワーク/ハイレゾオーディオ対応 DMR-BZT9300

  • 使用していない機能を停止させることでノイズ源を無くす「インテリジェントローノイズシステム」も新バージョンに進化。

(中略)音楽タイトル再生時には、デジタル音声処理系と、アナログ/デジタル信号出力部だけをONに、その他の機能をOFFにできるようになった。出力系統はアナログ/デジタル(光/同軸)/HDMIを選択できる。従来機(BZT9000)では、動作していたB-CAS I/Fや、音声フォーマット変換回路なども停止する。

  • 伝送クロック(TMDS-CLK)の低ジッタ化のためにVXCOと新たに外付けの低ジッタPLLを採用。クロック経路も見直すことで、さらなる低ジッタ化を実現した
音質/画質を追求したプレミアムDIGA「DMR-BZT9300」 -AV Watch

セカンドベストはなにか?

ハイエンドオーディオは100点満点を目指すアプローチでは、ロスレスデコードやクロックのノイズ対策を行っている。
iPhoneで手軽にかつできるだけ良い音を聞く、そんな80点を目指すアプローチをするとしたら、どうすればよいのか?
続く。

追記 てっとり早くクロックジッターの煩悩から解脱する方法

答え:信頼できる発信器を内蔵したサンプルレートコンバータ(SRC)を買う。
「でもSRCってお高いんでしょう?」という常識をぶちやぶるベリンガーの製品がSRC2496。


■ワードクロックまたはデジタル入力を介したサンプルレートの外部同期化
■ジッター除去と不正サンプリングレートの修正機能
■16、20 または 24-bit レゾリューションの高品質なシグナル出力
■エンファシスとコピープロテクション処理をおこなうビットを直接操作可能

スペック面では、もう全部入り。
強いて挙げれば、後継機での32bit処理とUSB,LAN(イーサネット)の対応だろうか。