セカンドベストはなんだ?

最善の策が取れなくても良い。最善を尽くすことがダイジ。

日本メーカーにレコーダーをつくる資格はない


Businesswoman holding red card / gcoldironjr2003

もはや日本の家電メーカーに録画機器をつくる資格はない。
乱暴な言い方かもしれないが、日本のテレビは、そう言わざるをえないほど残念すぎる状況に陥ってしまった。
2003年に地上デジタル放送が始まって以来、
この10年間のソニーやパナソニックに代表される家電業界の怠慢はあまりにひどかった。

消費者を無視して放送局との癒着に走った家電メーカー

もともと日本の家電メーカーはユーザー目線のものづくりが強みだった。
松下、ソニー、シャープなど日本の家電メーカーは、アメリカ政府の貿易摩擦という逆風にも負けず、
RCAやゼニス、GE、フィリップスといった欧米メーカーを押しのけ、
カラーテレビの輸出で世界市場を席巻した。
RCAが録画のできないビデオディスクにこだわっているのを尻目に、
ビクター(パナソニック)やソニーは家庭で手軽に録画できるビデオデッキを発明し、
テレビのタイムシフトを実現した。

ダンピング摘発が怖くてテレビがつくれるか!」
高度成長期のエンジニア魂は消え去った。
「使いやすさ」を追求してきた技術の蓄積と信頼のブランドは、
コピーワンスダビング10にさせて満足する法務部と、
数学科上がりの暗号技術者によって食い潰された。

ソニー・パナソニックはいまや、
政府や放送局と癒着して、ダビング10DTCP-IPなどの非関税障壁を築き、
サムソンやLG電子、アップルなど海外メーカーの脅威から日本市場を保護してもらう側に落ちぶれた。

録画した番組をパソコンでの視聴や編集など
アナログ放送のときは簡単にできたことが、デジタル放送ではできなくなった。
B-CASカードやDTCP-IPに対応しないとテレビすら見れなくなった。
そのうえB-CASDTCP-IPの対応機器はボッタクリ価格。
消費者の利便性よりも、放送局の著作権保護の下僕になり、業界の癒着であぶく銭を得る道を選んでしまった。

正直者がバカを見る仕組みに

ソニーやパナソニックの家電製品は「正直者がバカを見る」構造になってしまった。
HDMIがまだないころ、超高級品だった初期のハイビジョンテレビを買った人は、D端子のハイビジョン規制、いわゆるアナログサンセットの被害者になった。
初期のDLNA対応機器を購入した人は、DTCP-IPの被害者になった。
やれやれと思いながらも、DTCP-IP対応DLNAクライアントを購入した人は、
今度はDTCP-IPがiPadAndroidに対応したことで見事に投資を裏切られた。

結局、グレーゾーンのスクランブル無反応機を使う人だけが損をしない結果だった。

しかもコピーガードの目的だったテレビ番組の海賊版は相変わらず横行している。
中国の違法コピーを防止するために、日本のユーザーをコピーガードで縛り上げるというのは滑稽極まりない。
尖閣諸島もパトロールが関の山の日本にとって、中国の海賊版アップロードは手も足も出ない。
DTCP-IPで防げた違法コピーと、損なわれた利便性をてんびんにかけたら、圧倒的に後者のほうが重い。

海賊版は権利者の利益を大きく損ねるということに異論はないが、
そもそも日本アニメの海賊版が育てた親日家は、外務省のどんな留学プログラムよりも効果的なはずだ。
これを取り締まるという発想自体がナンセンスだ。

ソニーがテレビ文化を腐敗させた

「スマホでテレビを見たいけど、ウォークマンもXperiaも持っていないし、モバゲーでいっか」
電車の中でスマホをいじっている人は多いが、テレビを見ている人は少ない。
実際、レコーダーからスマホに書き出すのはかなり面倒くさい。

家電メーカーの罪が重いのは、彼らが下らない製品ばかりを発売して自滅するだけでなく、
その影響がテレビという文化自体にも及んでいることにある。
そう、テレビは文化だった!
ひょうきん族」派と「8時だよ全員集合」派の議論のように、
かつてのテレビは「特別な存在感」を放っていた。

テレビは圧倒的多数のライトユーザーに支えられてきたメディアだ。
テレビ放送に厳重な著作権保護をかけた結果、ライトユーザーはYoutubeに流れた。
いまや小学生はニコニコ動画のランキングを語る時代。
それにつけてもネジが外れたテレビマンはクイズや通販を粗製濫造するばかり。

SARVHの私的録画補償金問題など、放送局側にも非はあったし、
テレビをつまらなくした張本人はテレビ局と制作プロダクションだが、
テレビ文化の衰退には家電メーカーも片棒を担いでいる。

さらばソニー、ようこそアップル

放送局との癒着し、B-CASDTCP-IP対応機器をつくり、
新製品を出すたびに旧世代の製品を切り捨て、
あげくのはてに日本のテレビの視聴者を粗悪にする・・・
そんなソニー・パナソニックに我が物顔でレコーダーを売る権利があるわけがない。

テレビ番組くらい自由に録画できて、リビングの薄型テレビでも、携帯電話でも、パソコンでも好き勝手に視聴できる。
そんなライフスタイルを提案してくれるのはソニーやパナソニックでなく、アップルやサムソンだ。