セカンドベストはなんだ?

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ドミノピザ25周年記念の一連のティザー広告について

ドミノ・ピザが日本に来て25周年記念ということで、変わったキャンペーンを行っている。
25個のキャンペーンのうちのひとつ「イケメン店員の人気投票」で、ドミノ・ピザによる不正操作疑惑が話題になっている。
ドミノピザの25周年キャンペーンといえば、昨年末「時給250万円のアルバイト」が話題になったが、結局その後どうなったんだ?


批判も含め、ともかくたくさんの話題を呼んだドミノ・ピザの25周年プロモーションについて考えてみる。

要旨

  1. 「イケメン投票」、「時給250万円」はティザー広告
  2. ドミノピザのプロモーションは面白かったし、対応もわりと好印象
  3. 結局、ティザー広告の良し悪しを見抜くのは難しい
ティザー広告とは

商品を詳しく紹介せずに好奇心をあおる広告。じらし広告。

ティーザー広告とは - はてなキーワード

イケメン店員の人気投票とは?


screenshot
2011年1月14日〜2月6日にかけて、「The 25th Anniversary イケメンドミノ25コンテスト」キャンペーンが行われている。
ドミノピザで働いている男性の人気投票企画だが、「No.15 松村 良太(東京都大島店勤務)」氏が2ちゃんねるで大人気になった。
(面白半分という理由と、「ピザ」が「デブ」の隠語のためだろうか)

ランキング操作疑惑その後

ぶっちぎりで1位だった「No.15 松嶋 良太(東京都大島店勤務)」氏だが、
23日、突如「No.11 伊藤駿(愛知県天白店勤務)」氏に逆転されてしまう。
ドミノピザはtwitter上で不正操作疑惑を否定している。

参考

“No.15”がまさかの2位に!?ドミノ・ピザのイケメンコンテストに新展開 - はてなブックマークニュース
ドミノ・ピザのイケメン投票で謎の組織票 『No.11』が数時間で100万票以上獲得して1位に浮上!! 運営による不正操作の疑いも:【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´)


24日になると、キャンペーンサイトにアクセスしづらい状況になり、

現在、結果表示ページに不具合が出ておりますので、
システムを調査中です。

とアナウンス。


2011/1/24 19:02付けのJ-castニュースでは、2ちゃんねるで広まった投票ツールには「No.11」に投票するものがあり、それが不正操作疑惑の原因となった可能性、そして『担当者のコメント』としてコンテストの中止する可能性を伝えている。
参考:ドミノ・ピザのイケメンコンテスト 大量投票で混乱、無効の可能性 : J-CASTニュース
J-castの記事が、ドミノピザ側が書かせた記事だとすると、コンテストは中止になるのが濃厚。
そして、ドミノピザによる不正操作はない、とのこと。

ドミノイケメン投票開始

工作無しで自然とデブの15が一位

俺らで応援しようずwwwww

徐々に15が票を獲得

ツール製作者降臨 これで楽に投票できるな

だがここでイケメン11が謎の追い上げ

おいドミノ不正操作だろふざけんな

ツールアップグレード これでドミノに対抗するぞwwww

だが11も15と同レベルで増え続ける

ドミノ操作うぜえ 詳しく調べるぞ

あれ11の伊東駿って俳優の卵じゃね?事務所絡みの出来レース?

ドミノツイッター垢や本社にメール凸する奴が出てくる

?「お前らが使ってるツール、11に投票してるんだけど・・・」お前ら「えっ」

完全に自爆で大敗北 焼き土下座するわ←今ここ
ちなみに最初のツールが11にのみ投票で、アップグレードされたのが11と15に投票するよう仕組まれていた

ドミノピザの『イケメン投票』がかつてない白熱の末ついに完結!! : 2のまとめR


投票ツール(田代砲)がデフォルトで「No.11」に設定されていたという説の真偽は不明だが、「No.11」にセットして「誰得?」というインセンティブを考えると、どうも怪しい。

感想

twitterでカジュアルにコメントするドミノピザには好印象。
ただ、イケメンコンテストで優勝した場合の特典が「コンテスト終了後に決定」というのが、「優勝者はCM出演で、投票は出来レースなのでは?」という邪推を呼んでも仕方がない。


インターネット発のプロモーションならば、
芋洗坂係長のような体型・キャラの人物を『イケメン』として2ちゃんねらーの投票で優勝させる」→「TVCM等で『痛い』と思わせる露出をする」→「再びネットで話題に」といった流れにするのが良かったのでは。
下手に額面通りの『イケメン』が逆転してしまうことで、ユーザの反感を買う結果となってしまったと思う。

時給250万円のアルバイトとは?


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2010年11月某日、仕事の詳細その他は不明のまま、

2010年12月中に1時間だけの超短期アルバイトです。

とだけアナウンスされ、話題を呼んだ。
その後、雑誌「テレビブロス(TV Bros.)」とのタイアップ企画であり、
清水ミチコ、辛酸なめ子岩井志麻子光浦靖子との面接を行い、採用者を決定すると発表された。

時給250万円の顛末

ドミノピザ 時給250万円採用者1名が決定!!: クイズ&デリバリーによると、テレビブロス 年末年始特大号( 2010年12月25日号)で採用者が決定した。

■面接AND THE CITY
応募総数10895人の中から書類選考を通過したのは、わずか7人。
(中略)
1. 介護施設職員・45歳・男性。借金まみれの3流レスラー。子供達のためにリングを作りたい。
2. 生活保護・38歳・男性。医者から働く許可が下りずに生活苦。ゲイであることをカミングアウト。
3. 大学生・19歳・女性。韓国で整形して台湾でデビューを目論む(?)。
4. 就職活動中・40歳・男性。2人のベトナム人妻と4人の子供どちらも日本に呼び寄せたい。
5. 歯科技工士手伝い・53歳・女性。証明写真で書類審査一発合格。特技アヒルのくちばし。
6. 休職中・53歳・男性。子供が登校拒否、子供にいいところを見せたい。
7. フリーター・22歳・男性。ノートを丸々一冊使って世界救済論を展開。元ヒモ、ホスト歴2年。
なんだかんだ面接官の審査で、時給250万円の採用者1名が決定。
採用者は、5. 歯科技工士手伝い・53歳・女性。浜崎リツ子さん(宮崎)に決定した!!

ドミノピザ 時給250万円採用者1名が決定!!: クイズ&デリバリー


仕事の内容が明かされたのは、テレビブロス 1月8日号。*1

昼12時にドミノピザ三鷹店をスタート。ラージサイズのピザ3枚が入った箱を持ってタクシーに10分ほど乗り、調布飛行場に到着。
小型飛行機(JA4135)に乗り換えて伊豆大島まで30分の配達遊覧飛行。そこで、餅つきしてる子ども達にピザを届けて、13時にアルバイト終了。

ドミノピザ時給250万円のバイト内容、ギネスブック申請の長距離宅配: テンメイのRUN&BIKE

「1時間の宅配ピザで、最も長く移動した記録」としてギネス申請したというオチ付き。

「時給250万円」プロモーションの感想

「ドミノピザ日本上陸25周年記念スタッフ」キャンペーン、結局は夢のある企画だったように思う。
交通費等かなりの経費が採用者(浜崎リツ子さん)の持ち出しだったとしても、おそらく250万円は支払われただろうし、
宅配ピザのない伊豆大島まで飛行機でピザを届けるというのも、馬鹿馬鹿しくて良い。


「時給250万円」企画の直前の9月には、映画「インシテミル」のキャンペーンで、時給11万2千円のアルバイトという似たような企画があった。
「時給11万2千円」企画も、仕事の詳細を明かさず「テレビに出てもよいことが応募条件」と思わせぶりな募集をしていたが、
実際は映画の試写会の雑用だったという。*2
尻切れトンボになってしまうのはティザー広告の宿命とはいえ、最後まで馬鹿馬鹿しかったテレビブロス(とドミノピザ)の企画力にあっぱれ。
(ちなみに、「時給11万2千円」企画は11万人の応募者があったという。「時給250万円」企画と応募者数がほぼ同じなのは偶然か?)

その他参考URL

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まとめ

今回のドミノピザ25周年記念キャンペーンから学ぶべきことは、ティザー広告に対して、どう対処すべきか?ということだと思う。


ドミノピザ25周年記念キャンペーンは、異なる25の企画で構成され、時給250万円やイケメン投票などは、良くも悪くも世間をひっかきまわした。
話題性、バラエティ、オリジナリティと広告的な価値観からすると、挑戦的で面白い企画だったと思う。

AIDMA,AISASなど広告のモデルはたくさんあるが、すべてのモデルは、「A」=Attention(注目してもらうこと)から始まっている。
「注目を集める」ことは広告・宣伝にとっての生命線。
そう考えると、ティザー広告は「Attention」に非常に有効な手段で、今後も重宝されるだろう。


ただ、ティザー広告は「話題先行で、尻切れトンボになりがち」という傾向がある。
「時給250万円のアルバイト」にしても、マスメディアが取り上げるのは募集のときだけで、その後どうなったかは滅多に報道しない。*3
ネットに負けまいとキャッチーな話題作りに餓えているテレビにとって、ティザー広告Win-Winの関係かもしれない。
だが、さらに悪いことにはネットで検索しても、応募のときに書かれたページばかりがヒットし、その後どうなったかを記しているページを探すのは容易ではない。
提灯記事を掲載するポータルサイトを重視し、個人ブログを軽視するグーグル初め「SEOに負けた」検索エンジンの精度にも一因はあるが)

ティザー広告(=釣り)は、どう対処すべきか?

「『釣り』には華麗にスルー」が定番。
しかしあの手この手で注目を集めようと、プロが仕掛けたティザー広告にひっかからないようにするのは容易ではない。
スカウターが爆発するような測定不能の「スルー力」を以てしても、
「おまいら、時給250万のバイトあるぞ!」
と言われたら、振り向いてしまうのが人の性。


映画「インシテミル」のようなショボいキャンペーンが何度も出て、マンネリしない限りは、我々は釣られ続けるだろう。
広告の先進国・アメリカは、そのような消費者のスルー力でもハイレベルな気がする。
だが、欧米の例を見ても、結局は広告と消費者の騙し合いが高度化していくだけで、「絶対にダマされない」という域に消費者(もっと言えば大衆)が達することのは不可能。
『トリスを飲んで、ハワイへ行こう!!』というCMが1961年に話題なった。外貨の持ち出し制限や海外渡航の制限といった社会背景があったとはいえ、今となっては、高額な賞品が当たるというだけのキャンペーンが話題になるなんて信じられない出来事だ。
同じように、「時給250万円のバイトが当たる」なんて信じらんないワ、という時代が来るかもしれないが、そのころには「当選者が『ストップ』というまで現金を送り付けます」など珍奇な広告が話題になっているだけなのだと思う。

おまけ参考文献「検索結果を惑わす大手サイトの提灯記事

時給250万円バイトの選考基準を聞いてみた(Excite Bit コネタ) - エキサイトニュース
お笑いナタリー - 光浦靖子、清水ミチコら“時給250万円”バイトの面接官に
時給250万円のアルバイト!ドミノ・ピザ25周年記念スタッフ募集|ネットPR.JP


なお、「提灯記事」と決めつけたのはすべて筆者の独断と偏見。
また断定形でさも事実のように書いているが、筆者の勝手な見解であり、また文献も、孫引きを多用し、1次ソースにあたる努力を怠っている。
それらはこの記事に限らず、このブログのすべての記事に共通している、とな。

*1:[http://tenmei.cocolog-nifty.com/matcha/2011/01/post-e438.html:title]より

*2:[http://news.livedoor.com/article/detail/5029049/:title]より

*3:[http://datazoo.jp/w/%E6%B5%9C%E5%B4%8E%E3%83%AA%E3%83%84%E5%AD%90/5368935:title]によると、1月6日放送のテレビ朝日「ワイド!スクランブル」で扱っている模様