セカンドベストはなんだ?

最善の策が取れなくても良い。最善を尽くすことがダイジ。

五味康祐のオーディオ評論を読む。

オーディオとオカルト

ピュアオーディオ」と呼ばれるハイエンドを極めたオーディオの世界になると、超科学的な、オカルトじみた言説が多い。*1
例えば「電力会社によって音質が変わる」という2ちゃんねるの有名なコピペは、そんなピュアオーディオ界隈の奇習を軽妙におちょくっている。

ところで、ピュアオーディオの極端な音質追求はいつごろから始まったのか?
調べてみると、五味康祐という小説家がその道のパイオニアらしい。
五味康祐芥川賞を受賞したものの、のちに大衆文学に転向する。
いうなれば、綿矢りさのはしり。

今日は戦後のオーディオ評論に多大な影響を与えた五味康祐のエッセイ集「オーディオ巡礼」を紹介したい。
いま読んでもまったく色あせることのない傑作だ。
否、たしかに部分的にはまったく時代錯誤な著述もある。
しかしかえって、さながら骨董品のように往事の時代背景・思想が垣間見えてくるのだ。

この本には「時代によって変化してしまうオーディオ探求の哀愁」と、
「変わることのないオーディオ鑑賞の楽しみ」という2つの魅力が詰まっている。

五味康祐オーディオ巡礼 (SS選書)
五味 康祐
ステレオサウンド
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*1:オーディオに限らず趣味全般そうだけど。

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アルファブロガーでも釣りがしたい?「金融日記」が円高アジする理由について

「金融日記」藤沢数希氏の「過剰円安」説の虚を暴く。 - セカンドベストは何か?の続き。
「実質実効為替レートに騙されるな!」という経済学をあまかじりすれば誰でも知ってる常識を指摘した。
とはいえ、為替相場はいろんな国の利害がからむ。
国際決済銀行(BIS)の発表する実質実効為替レートは外交の舞台ではそれなりの説得力を持つ。
おそらく今の円安に対して、実質実効為替レートを根拠にした諸外国からの批判がバシバシ飛び出すだろう。
国レベルなら自国通貨安の恩恵があるので、円安批判する理由は分かりやすい。

解せないのは「金融日記」。
経済学に精通している「金融日記」藤沢数希氏は、なぜ円高アジをするのか?
もしかしたら高邁な経済思想に基づいているのかもしれないと期待した。
しかし残念ながら「注目集めてお小遣い稼ぎ」という金銭的インセンティブでしか、藤沢数希氏の円高アジは説明できない。

「金融日記」はじゅうぶん有名ブログになっているのだから、経済学入門者を誤解させるような釣り記事を書くのはやめて、
持ち味である恋愛金融工学のオモロー記事を充実させて欲しい。
一愛読者としての心からのお願いであります。

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「金融日記」藤沢数希氏の「過剰円安」説の虚を暴く。


昨年末からすさまじい勢いで円安ドル高が進んでいる。
野田前首相が解散を発表した2011年11月中旬は1ドル=79円台だったが、いまでは1ドル=92円台にまで円安が進んだ。

「デフレと円高に苦しむ日本経済」という常識的な見方をすれば、円安は景気回復が期待できるうれしいトレンドだ。
ところがどっこい「現在の円安は行き過ぎである」というトンデモ経済記事がネットで注目を集めていた。
現在の円安は行き過ぎである : アゴラ - ライブドアブログ
しかもこのトンデモ記事を書いたのが、為替のプロである「金融日記」のアルファブロガー・藤沢数希氏だと知り二重に驚いた。

調べてみると、以前から藤沢数希氏は「円高・円安」関連のインチキ記事を書き続けていたようだ。
まず藤沢数希氏が主張する「過剰円安」説のトリックを暴こう。
そして「なぜ藤沢数希氏は円高アジテーションするのか?」という疑問を、金銭的インセンティブと藤沢数希氏の経済思想の両面から考察する。

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